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民俗学者「宮本常一」の世界

  • 執筆者の写真: 継田恵美
    継田恵美
  • 2020年8月14日
  • 読了時間: 1分

父、そして祖父からその後に繋がる洞察力、人や物に対する慈しみ方が教えるともなく引き継がれていたこと。それは、「教育」と名のつかない英才教育そのものの様に思う。 エピソードを幾つか。これは私が忘れないためにここに書いておきたいと思います。


溝の穴からカニが出てくる。ヨモギの葉をもんでそれを糸にくくって穴の入口にさげているとカニが出てきてハサミではさむ。釣りあげて遊んでいた時のこと。

祖父は「釣る事には賛成」だけれども「カニをいじめるなよ。夜、耳を挟みに来るぞ。」という。そのカニのハサミをもぎ取ると、「ハサミはカニの手じゃけぇ。手がないと物が食えん。ハサミはもぐなよ。」と戒める。「カニと遊んだらまた元へ戻してやれ。遊んでくれんようになるけぇのう。」と。そして常一少年はカニと友達になった。


行間を読む、ページとページから繰り出されるのは、古き良き日本、古き良き家族の風景。 こうして脈々と受け継がれた感性は、宮本常一の仕事に見事に反映されているように思う。 人、モノと接するとき、話を聞く姿勢。そういう教科書にならないものを宮本常一の姿勢から感じている。 続けて、彼の書いたものや、膨大な数に上ったという写真を愛でてみたい。

 
 
 

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