
からゆきさんからの伝言② 「からゆきさんから、現代の私達へ」
さて、からゆきさんからの伝言①でも書きましたが、からゆきさん、からゆきどん達が海外へ出稼ぎに行ったのは、
江戸時代末期から、昭和の始め頃のことでした。単純により良い暮らしを求めて海外で働こうと思った方もいます。
そして今の時代と大きく様々な状況は異なっているのですが、海外に出稼ぎをせざるをえなかった、ほかに選択肢がな
く、特に子供(娘)に前借金を負わせ、奉公に行かせる形を取った例も多く、その背景を考えてみたいと思います。
部分的にフォーカスを当てると、「からゆきさん」が現代に生きる私達に、様々な問題を投げかけ、
また教えてくれている様に思います。海外出稼ぎを選択していく過程にあったものとは?
中でも立場の弱い女の子に強いられた海外出稼ぎの背景とはなんだったでしょうか。
1. 貧困問題(気候風土、労働や産業環境、時代背景)
~不作・不漁による貧窮、病など都合による借金、地場産業の⇒そもそも大資本が地方に入ってこない。
子だくさんから来る口減らしの必要に迫られる
2. 学習機会の喪失(子供も労働力とされ、通学できなかった。)
3. 女性の人権・家父長制度の中の女の子の立ち位置や扱われ方
4. 人身売買・人身取引の問題
5. 児童労働の問題(学習機会の喪失とも繋がります。)
上記の5点を考えました。ここで読者の皆様のお力を借りたいと思います。
他に、現代社会において、当てはめるとしたら、どんなことがあるでしょうか。ご意見をお聞かせ下さい。
100年前の日本。今とは違う労働環境で、出稼ぎで働くしか家族も自分も救われない状況がありました。
地域では産業が興らず、また経済状況も今とは違う為、出稼ぎ先は国内にとどまとどまりません。
地理的に、東京へ出るより、海を挟んで中国大陸方面へ向かう方が近かった地域もあります。
そんな渡航先で大変な困難に見舞われるばかりか落命してしまった人も居たのです。
幼いながらも働き手とされ通学が叶わず文盲であったり、手に技術がない為に、意に染まない仕事に
就かざるを得なかった人がいたことを「からゆきさん」を通じて知りました。
海外に出稼ぎに行かれた皆さん全員が、不幸であったとは思いません。
努力の末、成功をおさめ帰国できた方、かけがえのない伴侶に出会った方も居たことでしょう。
でも現代の私達が同じような困難な状況に陥らない為に、今一度、「からゆきさん」について考え、
知恵を出し合うことで、明るい光に導かれる答えもあるのではないでしょうか。
からゆきさんの居た時代背景や環境から、今を生きる私達が学ぶことができるのではないかと思います。
「からゆきさんが教えてくれる様々な問題」と書きましたが、現代社会に照らし合わせて考えてみることが
相応しいかどうか分かりません。しかし、からゆきさんや移民、移住に関する本や資料を読む中で、いつも、
現代の諸問題に置き換えて考えていました。明確に書かれた本や記事がないことから、私はいつか将来、
何らかの形で発信したいと思い続けており、このサイトの立ち上げに繋がりました。
引き続き考え、このページを更新できればと思っています。